求めし道 プロローグ
「…待て!逃げる気か!?」
「逃げるも何も、このままここにいても死者を出すだけだからな。」
 王城がそびえ立つのが見えるその城下町の大通りの真ん中で、銀色の髪を持つ青年が、兵士と向き合っていた。
「…貴様ッ!!」
 兵士は激昂し、手にした槍を青年に突きつけた。
「…望むところだ。だが、時間も無いからさっさとかかって来い。」
 青年は腰に帯びていたナイフを抜き、逆手に持って身構えた。
「「……。」」
 両者は睨み合い、互いの出方をうかがった。
「貴様の所業をあの世で悔いるのだなァッ!!」
先に動いたのは兵士の方だった。それに対し、青年は手にしたナイフでその槍を受けた。
「「…ッ!!」」
 兵士と青年は互いに後ろに飛び退いた。本来、槍とナイフでは後者の方が不利であると思われるはずだが、両者の戦いは拮抗していた。
「罪人め!!大人しく縛につけ!!」
「貴様こそ邪魔をするな!!」
 それからしばらく、王都の中央で銀髪の青年と兵士は激しく打ち合っていた。
「…ぐぅうッ!!」
 兵士は青年の攻撃の勢いに飲まれ、手にした槍もろとも突き飛ばされた。
「終わりだ…!」
「抜かせ!!」
 青年は、体勢を崩した兵士に向かってナイフを振り下ろした。兵士もまた懐刀を抜き、青年にそれを突き出した。
「ま…待って!!」
「「!?」」
 第三者の声が両者の動きを止めた。
「あれは…!!」