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むかしむかしのお話です。
神様には、何人かの弟子がいました。
ある時、神様は弟子達に、無と言う名の闇をそれぞれに渡して、こう言いました。
「この闇から、世界を創って育てなさい」
弟子達は、神様に言われた通りに、それぞれ世界を作り始めました。
弟子の中に、エスタークという者がいました。
彼はとてもものぐさで、寝る事が大好きでした。彼はいつもさぼったり手を抜いたりして、神様に怒られていました。
エスタークは、他の弟子達が闇から世界を一生懸命創っている中で、一人、居心地が良いからと闇の中で昼寝をしていました。
ある時、その様子を見た神様が怒って、エスタークの尻をたたいてこう言いました。
「いい加減に動きなさい。やれば出来る子なんだから! そもそもお前は来た時から覇気がないというかやる気がないというか、何かをする動機が全て寝る事でしかないというか、いかに快適空間で寝るかと言う事しか頭を使っていないというか……くどくど」
神様の小言がうるさくてのんびり昼寝も出来ないと思ったエスタークは、仕方がないから雌雄一対の剣を手に、世界を創る事にしました。
エスタークはとりあえず右手の剣で闇を縦に切り裂いてみました。
切れ目から光が生まれ、闇は光で満たされました。
光があまりに眩しかったので、エスタークは左手の剣で光を横に切り裂いてみました。
光は空と海に別たれました。
空と海ではゆっくり寝る事も出来ないと、エスタークは海を切り裂きました。
切れ目から大地が現れたので、エスタークはその大地に降り立ち、あくびをしました。
そろそろ疲れてきたし、面倒くさくなってきたので、エスタークは代わりに世界を育ててくれるものが居ればいいと考えました。
エスタークは、大地を一閃して、世界を育む生き物を創りました。
しかし、生き物はどんどん死んでいきます。
常に作り続けるのが面倒だったので、エスタークは生き物を二つに切り裂きました。
生き物は、雄と雌に別れました。彼等は自分たちで子孫を残す事が出来るようになりました。
「よし、これで我はゆっくり眠れる」
エスタークは満足して、自分の創った世界の地の底でゆっくり惰眠を貪ろうとしました。
しかし、彼が創った生き物達は、それを止めようとしました。
彼等は必死で頼みましたが、エスタークはゆっくり寝るために彼等を創ったのだから、彼等の願いを聞く訳がありません。エスタークは反対を押し切って、眠りにつきます。
しかし、世界を発展させるために創った生き物達は頭が良くて、勤勉だったので、一生懸命エスタークを眠らせまいと行動しました。
エスタークはいい加減煩わしくなったので、うるさい生き物達を切り裂きました。
エスタークの眠りを妨げる者から、エスタークの目覚めを妨げる者が生まれました。
エスタークは、眠りを妨げるものを魔と、目覚めを妨げるものを聖と決めました。
聖と魔に別たれた生き物達は、エスタークを目覚めさせようと、眠りから守ろうと、戦い始めました。
エスタークは小狡いので、その隙に世界の地中深くに潜りました。
眠りにつく時、争い続ける両者に、エスタークは、彼等へ言いました。
「我が再び目覚めた時、この剣は世界を地獄へと落とす武器となるであろう!」
そして、ついにエスタークは、ゆっくりと思う存分眠る事に成功したのです。
それから、長い長い月日が経ちました。
エスタークは、地中に寝ていた所為か、いつの間にか「地獄の帝王」と呼ばれ、魔の者に望まれ、聖の者に疎まれるようになりました。
何度か目的を忘れないしつこい魔の者が「地獄の帝王」を目覚めさせようとしました。
その度にエスタークは、力尽くでそれを排除し、恐れさせました。
何度か本末転倒した愚かな聖の者が「地獄の帝王」を目覚めさせ、倒しに来ました。
その度にエスタークは、適当に負けてあげて彼等の自尊心を満足させました。
それが、一番自分を起こす者が少なくなる良い方法だと、怠ける事には努力を怠らないエスタークは知っていたのです。
そしてエスタークは地の中という暗い快適空間でのんびりと惰眠を貪り続け、世界は栄えていったのでした。
めでたし。めでたし。
お誕生日おめでとうございます!
頂いたお話が、長くて切ないお話だったので、対抗して、短くて眠い話を書いてみました(切ないの対義語が眠たいだなんて初耳だ)
少しでも喜んでいただけたら幸いです。
いや、本当に眠りにつくためなら…何でもしたくなる様な、どこまでも絶妙なお話でしたとも!!神の領域にこんなに楽しく踏み込めたのは初めてです(謎)。拙いながら、空と大地をイメージした挿絵を作らせて頂いたりも…。こうしたイメージを膨らませるところが、いい作品だな…と(褒めちぎり過ぎてスイマセン)。
重ねて、この様な素敵なプレゼントを頂戴できた事に感謝の意をお伝えいたします!
ヒジリ(2009/5/31)